女性のがん罹患率一位「乳がん」

乳がんとは、乳管や小葉上皮から発生する悪性腫瘍の総称です。40~60歳代の閉経期前後の女性が発症しやすいと言われ、女性のがんでは罹患率が第一位となっています。近年は比較的に若い世代で発症することも多く、20歳代後半や30歳代前半で見つかるケースもあります。
乳がんのタイプ
乳がんにはいくつかのタイプがありますが、日本人女性によくみられるタイプの乳がんは、乳汁を作る組織である小葉を出てすぐの場所にある乳管の壁の細胞が異常増殖することで発生する乳管がんです。このほか、小葉から発生する小葉がんもありますが、こちらは乳がん患者全体の5~10%ほどです。
乳がんの主な症状
乳がんになると、下記のような症状が起こることがあります。なお、しこりなどは、乳がんだけに見られる症状ではありません。そのほかの疾患との鑑別をつけるためにも、なるべく早い段階で乳腺外科を受診するようにしてください。
- 乳房にしこりがある
- 乳房にえくぼのようなひきつれができた
- 乳頭から血液のような分泌物が出た
- 乳頭や乳輪に湿疹やただれが生じた
- 腕を上に伸ばすと、乳腺がひきつれる感じがする
早期発見が重要です
乳がんは、比較的早期の段階で発見し、早期治療を行ったならば、生命予後は悪くありません。早期の段階で乳がんの手術を行った患者さまのなかには、すぐに日常生活に復帰され、その後は何十年以上も健康に過ごせている方も多くみえます。しかし、乳がんに気付かず放置していると、時間の経過とともにがん細胞が広がっていき、いずれは乳腺以外の臓器に転移し、命に関わることがあります。気になる症状がみられたときは、なるべく早い段階で乳腺の検査を受けることが大切です。
なお、乳腺外科では、診察にて医師が触診でしこりの有無を確認したり、マンモグラフィや超音波検査を行います。その結果によっては、細胞診・組織診を追加します。こうした検査によって乳がんと診断されたときは、進行具合を確認し、手術、ホルモン療法、放射線療法、化学療法などが行われます。
乳がんのセルフチェック
乳がんは身体の表面に近いところに発生するため、ある程度まで大きくなると、ご自身でも気づくようになります。きちんと判断するには医師による診断が不可欠ですが、まずはご自身で乳がんのセルフチェックをしてみるとよいでしょう。
ポイントとなるのは、乳房の変化です。乳房の形状を確認し、左右差が以前より大きくなっているときは注意が必要です。また、両腕を高く上げた状態で、ひきつれなどが起こっていないか確認してください。さらに、あおむけに横たわった状態で、乳房の周囲を指先で軽く圧迫しながら、しこりの有無を調べます。とくに、わきの下に近い部位は念入りに確認します。こうしたチェックを毎月1回ほど行い、異変に気づいたときは、乳腺外科を受診すると良いでしょう。